
CIRE D' HESTIA

河村 歩
1986年 大阪生まれ
架空の国の中にあるキャンドル屋さんという設定で”CIRE D' HESTIA”を独学でスタート。
全ての行程を一人で担当している為、細部にまで拘りが垣間見える。
<以下、オフィシャルプロフィールから抜粋>
架空の王国『QUIET KINGDOM』を設定し、全てはその王国内で起こっている出来事として創作しています。
個々の作品設定の全ては少しずつ繋がっており、王国の営みという大きな背景を共有しています。
ファンタジックとリアリズムの両方の要素をもった、物語的な背景を持つものを作りたいと思い、制作しています。
中川 瞬(以下:S)
本日はADDtokyoで新しく取り扱うブランド“CIRE D’ HESTIA”の河村さんに来て頂きました。
インタビュー宜しくお願いします。
河村 歩(以下:K)
宜しくお願いします。
S
最初にお会いしたのはKenickCurryのケニックさんと一緒にNON TOKYOの展示会に来てくれた時ですよね?
K
そうですね。
それまでNON TOKYOの事は知らなかったのですが、見に行ったら可愛くて。それから何シーズンか継続して遊びに行ってます。
S
展示会で会ってた時はキャンドル作ってるの知らなかったので、NON TOKYOの市毛に連れられて展示を見に行った時は驚きました。
それまで河村さんが何やってる方か知らなかったので。(笑)
K
本職は全く違う仕事をしているのですが、プライベートな時間を使ってキャンドルを作ってます。
S
キャンドルを作り始めてどのくらいになるんですか?
K
キャンドル自体は大阪にいた7.8年くらい前から取り掛かってます。
その前からも色々作ったりはしていたのですが、今もコンセプトにあげている、架空の国の中の会社とか学校とか施設のグッズを作るというちょっと不思議な感じで活動してました。(笑)
S
しっかりコンセプトから入ってたんですね。
確かにプレスリリースにもコンセプトがしっかり書いてありますよね。

※ブランドリリースにはコンセプトがびっしり。
K
そこからやる事を絞って、ロウソクのロウの会社にしようと決めたのですが、その頃今の会社に就職しまして…。
それで活動する時間が一気に少なくなって、3年後にようやくギャラリーのショーケースと呼ばれている小さな棚で一ヶ月販売しました。
それまでは全然売れない時期もありました。
S
それは何故?
K
おそらく、手作り感が無いから…。
ハンドクラフト感を求めている方には響かないので手作りのものが多い展示会では向かないのかなと思いまして。
それからはそういうイベントには出ないようになりましたね。
一時期は凄く悩んで、私向いてないのかな…と思ったり。
S
確かに河村さんの製品は完成度高いですよね。
洋服も同じように手作り感が好まれるマーケットだと、たとえそれが手作りであろうと精度の高い物は評価されにくいように思います。
その状態からどのようになるんですか?
K
それから上京してきて、東京で再開したキャンドルのシリーズが今までから考えるとかなり売れてくれて。それで自信を少し取り戻しました。
それまでは辞めようかなとも思っていたので。
S
では東京で自信を取り戻してからは順調に活動していった感じですか?
K
その後またしばらく仕事が忙しくて数年間活動出来てなかったんです。
その間、ずっとやりたいなと思いつつも、まだあらゆる面で自分が持っていきたいレベルまで達してないとも思っていたのでロゴを一新して、ロウや香料も品質を向上しました。他にも表記を英語からフランス語に変えたりと自分の見せたい世界観を固めていきました。


※ロゴと工房で使っている道具たち。
S
レベルアップさせて見せたのが今回の展示って事ですよね?
K
そうです。
初めて個室を借りて展示会をやったので、空間を作る事が出来たのが良かったですね。什器も自分で作りました。

※展示会での一枚。商品のバリエーションも豊富に展開。
S
確かに個室だと空気感が演出できて良いですよね。
今回の展示も部屋に入った瞬間から世界観が伝わったので僕も何か買って帰りたいという気持ちになりました。
皆さんの反応はどうでした?
K
良かったです。
今まで生きてきて一番良かったです。(笑)
実際に買ってくれた方も沢山いたので嬉しかったですね。
S
僕たちの店“ADDtokyo”で取り扱う事をその場ですぐに決めちゃいましたが、本来一個売りのカヌレを2個セットの専用パッケージで販売したり、四季に合わせて3ヶ月毎にキャンドルの香りを河村さん本人にセレクトしてもらう企画があったりと他の取り扱い先には無い事をリクエストさせてもらいました。


※カヌレとADDtokyo限定パッケージ
K
3ヶ月ごと香りを変えるのは、とても季節や時期を意識しますよね。
今までやった事のない試みなのでどんな香りにしようかな〜と考えてワクワクしてます。(笑)
S
僕らも納品されてくるまでどんな匂いなのかわからないので、変わり時が凄く楽しみです。
今回の第一弾はどのような匂いですか?
K
第一弾は、“SALON DE THE”。
紅茶とキュウリの香りです。
キュウリの青臭さが結構出るので、それが好きな人と嫌いな人が結構分かれる匂いですかね。
私自信、万人に好かれる匂いというのがあまり好みでは無いのもありまして。

※10月までの限定展開。
S
何故、紅茶にきゅうりなんですか?
その2つを混ぜた理由は?
K
アフタヌーンティーの時はキュウリのサンドウィッチを食べるという決まりがあるのでそこから着想しました。
S
そうなんですね。全然知らなかったです。
紅茶にキュウリのサンドウィッチが合うのかなーとか思ってしまいましたが、そういう問題ではなく、しきたりなんですね。
今回の紅茶とキュウリに限らず、他の香りを作る時も過去の歴史やストーリーを意識したりするのでしょうか?
K
そうですね。
他の香りも名前とリンクするように香りを調合するように意識してます。
S
今回ウチで唯一定番展開する“職人”という匂いがありますが、これはどのような背景があるのでしょう?
K
職人は、タバコや革、オレンジの香りを調合したものになります。
海外ではタバコや革の匂いっていうのがポピュラーな匂いの一種で日本では珍しいのですが、レザーやタバコが日常的にあり、オレンジオイルを使う場所っていうのを想像して最初は靴磨きにしようかと思ったのですが、日本だと靴磨きという名前だと最初に持たれる印象が良くないかもなと思い、総合的な意味合いで職人にしました。
革を扱い、タバコを吸い、あとはコニャックの香りも入っているのでお酒も飲むような渋めの人を連想してます。

※定番展開の職人。こちらは無くなってもまた買えます。
S
確かに高級ホテルにいる靴磨き職人もいれば、新宿の路上にいる靴磨きさんもいますしね。匂いを嗅ぐと職人という名前が不思議とピンときますね。
K
他の香りも同じように、焚いた時に物語を感じられる香りを意識してますね。
S
では11月からの紅茶とキュウリに代わる新しい香りもどんなストーリーや背景があるのか期待しております。
今日はインタビューありがとうございました。
K
ありがとうございました。