
Satoshi Onodera

Satoshi Onodera
東北芸術工科大学版画コースシルクスクリーン専攻卒業後、自身のデザインとシルクスクリーン技術を用い、旅の道中で譲り受けた古布を再利用し、すべての工程を手作業にこだわった一点物のクッション「リユースクッション」を制作、販売する「ワンクッション」を立ち上げ活動を続けている。
昨年度、年間50カ所以上のイベントなどに出店し、1000個以上のクッションの販売実績を誇り今なお全国にファンを増やしている。
聴覚から入り視覚に出る、その場に流れる空気を読み自由な発想で地球、宇宙、自然、音楽を愛する心を込めて、デザインを描きおこす。
・CDアルバムのアートワーク多数
・カフェテリア、ヨガスタジオの内装デザイン、ペイント
・アジア雑貨店のオリジナル商品デザイン
・アパレルブランドとのコラボ商品デザイン
・毎年、奄美大島で開催される「奄美舞」のキャンペーンポスター原画担当
・野外イベント等のT-shirtのデザイン
Instagram : 0noderasatoshi
中川 瞬(以下:S)
今回のADDmeetingはアーティストの小野寺 智くんに来て頂きました。
宜しくお願いします。
小野寺 智(以下:O)
宜しくお願いします!
S
会うのは去年の5月にコラボした以来だね。
今日もシルクスクリーンを沢山持って来てもらったので、ウチのTシャツに色々刷ってもらいながら話を伺おうと思っているのだけど、ここに着くまで大変だったんだって?
O
そうなんですよ。
宮城からバスで来たんですけど、高速でタイヤがパンクして…。
本当に危なかったです。(笑)
そのあと代車が来るまで一時間半待たされて、予定より遅くこちらに着きました。
S
マジで災難だね。
俺も昔、高速バスのエアコンが壊れたから代車待ちますってなって、サービスエリアで待たされたんだけど、全然来ないし真夏で暑いしで、前の席に座ってたおばあちゃん吐き始めちゃって大変だったよ。
いっそそのまま窓開けて目的地まで行って欲しかったけどね。
そのバスには元々5人しか乗ってなかったから、皆で変な一体感生まれちゃって。(笑)
とにかく移動中も気を抜けないね。
話を戻すけど、シルクスクリーンは予め宅急便で送ってもらってたけど、この段ボール凄いね。

※パッチワークされまくり。もはや芸術。
O
この段ボール、もう4年は使ってて、ここまで使い込むと逆に強度増すんですよ。
佐川さんにも、「小野寺さん、そろそろ変えませんか?」とか言われるけど、まだまだこれ使いますよ。(笑)
S
今日は宮城からこちらに来てくれたけど、一年前にプリントお願いした時は千葉の家にお邪魔したよね。
今はどこに住んでるの?
O
今も千葉の家はあるんですが、そこは今4人でシェアしている状態であまり帰ってないんですよね。物を取りに帰るくらいで。
みんなアーティストだから自宅兼アトリエみたいな感じになってます。
あと、ネコが5匹います。(笑)
今はほぼ住居を構えてない状態で、ワークショップをメインに生計を立ててる感じです。
宿は、イベントのオーガナイザーの家に泊めてもらったり、友達の家に泊めてもらったりですかね。あと、あまりに注文が入り過ぎると徹夜でずっとプリントしてたりしますよ。過去経験したのだと、3徹は地獄でしたね(笑)
S
屋外で3日徹夜は凄いね…。
今はクッションがメインなんだよね?
一年前に我が家の愛犬のクッションをお願いしたけど、ああいう形のオーダーは今でもやってるの?


※我が愛犬、ポクとしげるのクッション。チワワの絵をシルクスクリーンでプリントした後にハンドペイントで柄を付けていく。同じ版を使ったとは思えないほどの出来映えでビビる。
O
今はもうやってないんですよ。
あれ、やって欲しいっていうリクエストが多くて家に缶詰状態になっちゃったんですよね。藍さんがインスタに載せてくれた後もかなりの数が一気にきて、凄くありがたい話なんですけど、家にずっといるのが我慢ならなくて…。
なので、今はクッションはワークショップでお客さんと対話しながら作ってます。
一言で言うと行商ですよね。
S
ワークショップはそういう形でやるの?
お客さんに刷らせたり?
O
刷るのは技術が必要なのでこちらでやるのですが、版を色々持っていくので、この版をこの位置にこの色で刷るみたいな感じで決めてもらいます。
ワークショップって地方に行くほど盛り上がっていて、都内でやるよりも忙しいんですよね。
だから、それをわかっているお客さんは開始時間まで並んで来てくれます。
同じ場所で何度か出たりすると常連さんがついてくれたりして、僕の絵の意味を聞いてくる人もいれば、自分で考えたいから絵の説明はしないでくれって人もいたり。
色んな人との交流が生まれるので凄く楽しいですよ。

※小野寺くんのインスタから転載。普段はこんな素敵なクッションを作ってます。
S
確かに聞いてるだけで楽しそう。
俺も数年前に店の初売りでノベルティーとしてワークショップ的なのやったけど確かに楽しかったよ。
でも小野寺くんと出会ってあまり得意気にプリントするのやめたよ。(笑)
今まで色んな手刷りやってるアーティストさんに会ってきたけど、絵から製版まで全て自分でやっている人はいなかったし、版の精度が本当凄いよね。
製版技術はいつ覚えたの?
O
美大にいた時ですね。
学校にそういう学科とかが無かったので、勝手にシルクスクリーン一期生って名乗ってたら、先生がそんな俺を見兼ねて教授を呼んでくれたんですよ。それがかなり凄い人でアンディー・ウォーホルのファクトリーに出入りしていた人なんですけど、その人に教えてもらって色々覚えました。
その人は水にシルクスクリーンを刷ることが出来る人です。


※小野寺くんのシルクスクリーンとスキージー。製版は全て太陽光を使い自身で作製する。網戸のサイズまでいけちゃうらしい。
S
あのファクトリーに日本人がいたって事が結構驚きだけど、水に刷るってのもヤバいね。マスター・ヨーダのレベルだね。(笑)
O
当時ファクトリーには日本人が結構いたみたいですよ。
水に刷るのは少しでも動かしたらダメなのでかなり難しいと思います。
S
製版技術はファクトリー仕込みなのがわかってかなりビビってるけど、絵の方はコンセプトとか意識している事はある?
O
あまり理屈っぽくなるのは嫌なのですが、情報が詰め込まれた絵を意識してますね。
例えば絶滅種をテーマに書いたりする時は、その時から今に至るまで存在する生物を一緒に書いたり、絵を通して時の流れや経過が見えるようなものを意識したりしますね。
あとは宇宙っぽさ。
地球と宇宙の中間を表現したい。


※今回作ってもらったクジラのプリント。一緒に描かれたクラゲにも重要な意味がある。クジラのプリントは、一度刷ってからグラデーションに全体を塗り、その上から更にプリントしている。
S
小野寺くんの絵って星や惑星が書いてなくても何故か宇宙感じるものが多いよね。
特にプリントした後の作品がそう見える。
いつもは結構サイケな色の組み合わせが多いよね。
今回のコラボでは敢えて色を抑えたものを多く刷ってもらったけど、絵の迫力がストレートに伝わってきていつもの小野寺くんの作品とはまた違った良さが出てると思うよ。
チワワ刷ってもらったけど、これはとりあえず自分で買います。(笑)

※このチワワのモチーフはポクをモデルに書いてくれたものなんです。
O
バナルは学生時代に実際に着ていたブランドなのでまさかコラボさせてもらえてマジで嬉しいです。
服はお金が無かったのでヤフオクで買ってましたが。(笑)
S
ヤフオクは複雑だけど、ありがとう。(笑)
今後の展開は何か予定している事ある?
O
初の個展をやろうと思ってます。
複数のギャラリーを巡回して、東京から北の方へと移動していく予定です。
衣食住を絡めた個展で、初回は三軒茶屋を予定してます。
S
衣があるならバナルとも何か出来そうだね。
何か楽しい事ないかなって思ってたから今から楽しみ。
O
是非一緒にやりましょう。
S
ではまた東京に来るタイミングで打ち合わせしよう。
今日はインタビューありがとう。
O
こちらこそ、ありがとうございました。

※このフィルムに原画を描き、製版する。PCは一切使わず自らの手で全ての行程を仕上げる。

※原画の鶴のプリント後。



※フクロウのシルクスクリーンは大判サイズなので刷るのも一苦労。インクも全て調合したオリジナルの色を使用する。




